先月の定例会では「わが子の権利守ってる?」というテーマで、ある知的障害のあるご本人の決めたことに支援者がどのように寄り添ってきたかという動画を視聴し、知的障害のあるご本人の意思決定に関して、それぞれのご家庭での現状や考えをお聞きしました。今月はその流れで意思決定や意思形成も含め、わが子にはどんな支援が必要なのか、どんな工夫があれば自分の意思を表出して自分らしい生き方が出来るのかを話し合ってみました。
参加者の皆さんが不安に感じられていると口を揃えておっしゃるのは、親なきあとのわが子の暮らしについてです。知的障害とりわけ自閉症を含む発達障害の方は想像し類推することが困難なので体験・経験しないと理解し、判断することが難しいと言われます。多くのことを体験し経験する中でご本人の好きな事、嫌な事を選択できるのだと思いますし、言葉を話せない方も表情などでご本人の選択・決定を表されるのではないでしょうか。しかし将来の親なきあとを考えグループホームや入所施設のショートステイを体験させたものの断固として拒否する意向を示されるご本人も多く、親としては悩みどころという意見も多く聞かれました。ある参加者の方は、「お一人お一人年齢や性格、生活状況など違いがあるので一概には言えないものの機が熟すれば本人もすんなり受け入れてくれるようになると思います」とご自分の経験を基に話され、皆さん一縷の望みを持たれたようでした。
また、選挙についても話が及び、知的障害があり判断することが出来ないのだからそもそも選挙自体の意味や意義も理解できないし、どの候補者に投票すればいいかも判断できないと思うので今まで選挙に連れて行ったことはないと仰る方もいらっしゃいました。ただ障害がない人でもマニュフェストを熟読して投票する人ばかりではないし、選挙する権利を親の判断で奪ってしまうのもある種の権利侵害ともいえるかもしれません。長崎市選挙管理委員会では育成会や自閉症協会からの要望もあり、知的障害のある人の選挙へのハードルを下げる目的で投票支援カードを導入しています。十分とは言えないまでも、以前に比べれば知的障害がある人への意思決定を支援する機運も高まり、環境も整いつつあるのかもしれません。
次回の定例会は6月18日㈬10:00から育成会大橋事務所会議室にて「卒業後の進路って?」と題して、令和7年10月から始まる「就労選択支援」を踏まえ、主に学齢期の保護者さん向けに卒業後の進路先や手続きの流れについて話し合ってみましょう。この「就労選択支援」とは本人の意思や意向を尊重しながら、能力に沿った就労の機会を提供していくための支援を推進する事業となるようです。当法人の就労移行支援事業所さんらいずの施設長と相談支援事業所所長も参加してもらい、説明を聞きながら学んでいきたいと思います。今回は育成会会員に限らず学齢期の保護者さんもご参加いただけます。是非お気軽にご参加ください!