“親なきあと”への親の思い

会員定例会のテーマの中でも特に注目度が高い”親なきあと”。 今回の定例会も関心の高さを示すように多くの方に参加いただきました。はじめに知的障害を伴う自閉症のお子様をお持ちの2人のお母様と支援者の立場から知的・発達障害生活支援事業を運営されている理事長の3名の対談形式の動画を視聴して頂き、その後感想を含め話し合ってみました。参加者それぞれ事情は違っていても、動画に出演された2名のお母様が話された悩み、不安、思いと基本的に同じようでした。ご家庭の事情やお子さんの状況(年齢や障害特性、また親と同居しているかグループホームで生活しているかなど)で違いはあるものの、①親元から離れるタイミングの難しさ、②グループホームか一人暮らしか、③支援チーム構築の難しさ、④頼れる支援が「続かない」現実、⑤「人頼み」の支援の限界、⑥万が一のときの「仕組み」がない焦りなど話された内容はどれも障害のある子を持つ親が直面する課題だと思いました。

動画の中でも取り上げられた障害のある人の意思決定支援の大切さと親の思惑とのバランスは参加者の皆さんも悩まれている問題の一つのようでした。年齢的にグループホーム入居も考えショートステイなど体験させてみたけれど、本人は”家”にこだわりがあり、かたくなに親元を離れることを拒否される方のお母様が10日ほど留守にすることになり、「ショートステイか家か」と尋ねると「家」を選択し、どうにかやり遂げられたという経験から、考え方を変えて今は利用できないけれど、将来的には家事援助などの居宅サービスを使えるよう相談支援とも連携を取り、現在の家で支援を入れながら一人暮らしが出来れば理想的だとのお話しに本人の意思を尊重するために従来の考え方と発想を変えて取り組んでみてもいいのかもしれないとヒントを頂いた気がしました。いずれにしても親の望みは自分がいなくなった後も笑顔で生活して欲しいということです。そのためには障害のある人を一人の人間として、社会の仲間として受け入れてくれる社会であってほしいとの言葉が印象に残りました。また、支援者に向けては出来るだけ長く福祉の仕事を続けていただき、利用者さんのきらっと光る素敵なところを見つける気持ちで支援して欲しいとの発言にその通りだと共感しました。

次回の定例会は12月18日(木)10;00~12;00 育成会大橋事務所会議室にて行います。お時間に都合がつかれる方はお気軽にご参加ください。いろいろな人のお話しを聞いたり、ご自分の思いを話すことで新たな発見があるかもしれません。